過熱水蒸気乾燥システム
廃棄食材を、保存の利く可食材へ。
過熱水蒸気乾燥システムは、低酸素環境の中で食材を短時間に乾燥・殺菌し、保存の利く可食材へと加工する技術です。装置は、過熱水蒸気機器を開発する株式会社思考館とのアライアンス提携により活用しており、当社はその販売・普及と、廃棄食材が出る現場での移動加工(キャラバン)を担います。これまで捨てられてきた食材を微粉末化してアップサイクルし、食品ロスの削減に貢献します。

過熱水蒸気とは?
ふつうの湯気(100℃)を、さらに高温(200〜1,300℃)まで熱した“見えない超高温の蒸気”です。ご家庭の「水で焼く」タイプのオーブンと同じ原理の、工業用システムと考えると分かりやすいでしょう。
- 焦げず・酸化せず:蒸気=酸素が少ない環境なので、色・風味・栄養を残せます。
- 短時間で乾燥+殺菌:熱風乾燥の約2倍の効率(20分で約90%乾燥)で、中まで殺菌。
- 油を使わない:揚げる(ポテトチップス)のではなく、蒸気の熱で“乾かす”技術です。
この事業のきっかけ
地方の選りすぐりの食材を生産者から直接仕入れる中で、私たちは“まだ食べられる食材が大量に捨てられている”現実を知りました。ジュース加工で出る皮や種、規格外で廃棄される野菜や果物——。これらを可食材へ変えられないか。その想いから、過熱水蒸気機器を開発する株式会社思考館とアライアンス提携し、乾燥・殺菌・微粉化の技術を活用。廃棄食材が出る現場へ装置を載せて出向く“移動加工(キャラバン)”を始めました。当社は機器の販売・普及と、現場での加工サービスを担っています。
アライアンス提携先:株式会社思考館(過熱水蒸気機器の開発元)
メディア掲載:神奈川産業振興センター(KIP)ブログ「〜社会課題を解決〜『過熱水蒸気装置』による食品ロス軽減」
パワービジョンの役割
過熱水蒸気の装置・技術は、アライアンス提携先の株式会社思考館が開発したものです。パワービジョンは装置をつくる会社ではありません。その技術を“廃棄食材が出る現場”へ運び、その場で可食材に変える——移動加工(キャラバン)と販売・普及を担うサービスの担い手です。
- 現場へ運ぶ:装置を積んで、廃棄食材が出る産地・加工場のそばで加工します。
- 可食材に変える:乾燥・殺菌・微粉末化し、保存の利く“食べられる素材”へ。
- 広げる:思考館とのアライアンス(開発+販売契約)のもと、活用先を開拓・普及します。
この事業の特長
乾燥・殺菌・微粉化
低酸素下の過熱水蒸気により、酸化を抑えながら短時間で乾燥と殺菌を同時に行います。
食品ロスの削減
従来は廃棄されていた食材を、保存可能な可食材へとアップサイクルします。
高温の過熱水蒸気
水蒸気を200〜1,300℃の高温ガスにし、幅広い温度帯で食材に応じた最適な乾燥を実現します。
微粉末化
乾燥させた食材をハイスピードミルで粉砕し、約100µmまで微粉末化します。
移動式(オンサイト加工)
トラックの荷台に過熱水蒸気機器を搭載し、廃棄食材が排出される現場の傍らで乾燥・殺菌・粉末化できます。
3つの装置
いずれも、アライアンス提携先・株式会社思考館が開発した装置です。パワービジョンはこれらを現場で活用し、販売・普及を担います。

過熱水蒸気乾燥機器
水蒸気を200〜1,300℃の高温ガスにし、低酸素環境で食材を素早く乾燥・殺菌します。対流・凝縮・放射の3種類の伝導熱が直接届くため、熱風乾燥の約2倍の効率で乾燥できます。

ハイスピードミル
乾燥させた食材を10,000回転/分の高速ミルで粉砕し、約100µmまで微粉化します。

ナノマイザー
微粉化した食材をさらに10µm〜200nmまで微粒化。コロイド状に乳化・分散でき、牛乳のホモジナイザーとしての実績もあります。
柿の皮の乾燥・殺菌、粉末化トライ
トラックの荷台に過熱水蒸気機器を搭載し、柿の加工現場へ出向いて、柿の皮の乾燥・殺菌・粉末化を試みました。




主なスペック
- 処理温度
- 200〜1,300℃まで自在に制御(過熱水蒸気)
- 乾燥効率
- 20分で約90%(100g→30g/熱風乾燥の約2倍)
- 微粉化
- 約100µm(ミル)〜 10µm〜200nm(ナノマイザー)
- 加工形態
- 定置式のほか、トラック搭載の移動式にも対応
熱風乾燥との違い
- 従来の熱風乾燥は対流伝導(加熱空気)のみ(約0.24cal/g℃)。一方、過熱水蒸気乾燥は対流伝導(約0.48cal/g℃)・凝縮伝導(約539cal/g)・放射伝導(約0.22)の3種類の伝導熱が被乾燥体に直接届くため、素早く一気に乾燥できます。
- 過熱水蒸気で乾燥させると20分間で約90%の乾燥率に到達(100g→30g)。熱風乾燥と比べて乾燥時間は約1/2です。
- 低酸素環境で乾燥させるため、コゲや風味抜けが少なく、栄養素も酸化しにくいのが特長です。

過熱水蒸気乾燥の12のメリット
- 01短時間で乾燥ができる
- 02乾燥のための消費エネルギーが省エネ
- 03低酸素環境なので風味や旨味などが損なわれない
- 04低酸素環境なので栄養成分が酸化などで損なわれない
- 05焦げが生じにくい
- 06食品内部まで殺菌が可能
- 07種子(穀物/豆類)の生理機能を保持する殺菌が可能
- 08乾燥温度は200℃〜1,300℃まで自在に制御可能
- 09設備が単純でメンテナンスも容易・安価
- 10複雑な形状(乾燥しにくい部分)の被乾燥体でも乾燥可能
- 11予熱が不要で立ち上がりが早い
- 12水が膨張する勢いで自然風が起こるため、押込みブロアなどが不要
対象となる食材
これまで廃棄されていた、こうした食材を可食材へアップサイクルできます。
- じゃがいもの表皮
- 野菜の表皮
- 穀物の表皮(糠・ふすま)
- 甲殻類の殻
- 豆の皮
- 柑橘系果実の皮
- 骨・内臓・あら
- 玉ねぎの表皮
処理の流れ
- 01
投入
廃棄・余剰食材を装置へ投入します。
- 02
乾燥・殺菌
低酸素の過熱水蒸気で短時間に乾燥・殺菌します。
- 03
微粉末化
ハイスピードミル・ナノマイザーで微粉化します。
- 04
可食材化
保存の利く可食材(粉末)としてアップサイクルします。
乾燥・殺菌・粉末化の例
- 米糠
- おから
- もろみ
- あずき皮
- 葡萄皮
- 生姜皮
- あじ
- カナガシラ
- しじみ
- 干柿の柿皮
商品化・今後の検討
乾燥・粉末化した素材は、パンやスイーツ、風味付けなど幅広い商品へ展開できます。

- 食べるヌカ(オアシス島根)
- 葡萄の皮の粉末×ブルーベリーパン
- 柿皮粉末×ドライオランジュ
- 米ヌカ粉末×ビスコッティ(ヴィーガン向け)
- 濃縮ジュース
- ラーメンの風味付け
- 海老・蟹の粉末
- 柑橘系粉末×ステーキ
活用の広がり
「水で焼く」技術は、食品ロスの再生だけでなく、乾燥・殺菌を軸に幅広く応用できます。
食品ロスのアップサイクル
柿の皮・米糠・おから・酒粕・葡萄皮・水産残渣などを、可食材や微粉末へ再生。
殺菌
香辛料・粉末・乾物などを、薬品を使わず風味を残したまま殺菌。
乾燥・焙煎
野菜・果物の乾燥、穀物・豆などの焙煎に。低酸素で風味・栄養を守ります。
産業用の乾燥・殺菌
食品以外の産業機器用途にも。汚泥・バイオマスなどの乾燥・減容にも活用が考えられます。
移動式(オンサイト加工)
廃棄物が出る現場のそばで乾燥・殺菌・粉末化。運搬コストを抑え、地域で資源を循環。